ヘルスリテラシーとは、健康に関する情報を理解し、自分や家族の健康に役立てる能力のことです。
ヘルスリテラシーの高い人は、病気の予防や早期発見、適切な治療やケアの選択、健康的な生活習慣の維持などに有利です。
一方、ヘルスリテラシーの低い人は、健康情報にアクセスできなかったり、理解できなかったり、活用できなかったりすることで、健康上の不利益を受ける可能性が高くなります。
例えば、医師の説明を聞き漏らしたり、薬の服用方法を間違えたり、予防接種や検診を受けなかったりすることがあります。
これらのことは、病気の重症化や合併症の発生、医療費の増加などにつながる可能性があります。
ヘルスリテラシーは、個人だけでなく、社会全体にも影響します。
ヘルスリテラシーの高い社会では、健康格差が減少し、医療資源の効率的な配分が可能になります。
また、ヘルスリテラシーは、公衆衛生や感染症対策にも重要です。感染症の流行を収束させるためには、正しい情報を得て、感染予防やワクチン接種などの行動をとることが必要です。
そのためには、個人としても社会としてもヘルスリテラシーを高めることが求められます。
日本人のヘルスリテラシー
日本人のヘルスリテラシーは他国に比べ低いと指摘されています。
この低いヘルスリテラシーによって、健康情報を十分に理解し、適切に活用することが難しい状況を生み出しているのです。
日本人のヘルスリテラシーが低い要因は、以下のような点が挙げられます。
健康教育の不足
日本では、健康に関する教育が不十分であると指摘されています。
特に子供の頃から健康に関する教育が不十分であることが、ヘルスリテラシーの低さにつながる一因とされています。
他国では家庭医がプライマリケア(初期包括医療)を担い、健康に関する情報提供や相談が行われていますが、日本ではその体制が整っていないことも影響しています。
情報アクセスの不足
医療情報が専門的であったり、理解しにくい表現が多いため、一般の人々にとって情報を理解しやすくする工夫が必要です。
高度な医療技術への依存
日本は高度な医療技術を有する国として知られており、医師や医療機関に対する依存度が高い傾向です。
そのため、自身で健康管理を行う必要性が相対的に低いと感じられることが、ヘルスリテラシーの低さにつながります。
これらの要因が組み合わさり、日本人のヘルスリテラシーが低いとされています。
しかし、ヘルスリテラシーを向上させる教育や情報提供、文化の変化などにより、改善の余地があるとされています。
ヘルスリテラシーと健康格差について
ヘルスリテラシーと健康格差は密接に関係しています。
ヘルスリテラシーの高い人は、健康情報にアクセスしやすく、理解しやすく、活用しやすいです。その結果、自分や家族の健康を保護し、改善することができます。
一方、ヘルスリテラシーの低い人は、健康情報にアクセスできなかったり、理解できなかったり、活用できなかったりすることで、健康上の不利益を受ける可能性が高くなります。
これは、健康格差を拡大する要因の一つです。
ヘルスリテラシーと健康格差は、私たち一人ひとりの健康だけでなく、社会全体の健康にも影響します。
ヘルスリテラシーの重要性を理解し、日々の生活で実践することで、自分や家族だけでなく、社会全体の健康向上に貢献できます。
ヘルスリテラシーを高めるには
ヘルスリテラシーを高めるには、以下の3つのステップが重要です。
自分を知る
自分の健康状態やリスク要因、健康目標や価値観などを把握することです。自分を知ることで、自分に合った情報やサービスを選択できます。
自分で調べる
健康に関する情報は多様で複雑です。信頼できる情報源や専門家から情報を入手し、その内容や質を批判的に評価することです。
自分で調べることで、情報の真偽や有用性を判断できます。
自分で伝える
自分の健康に関するニーズや懸念、希望や意見などを、医療者や家族、友人などとコミュニケーションすることです。
自分で伝えることで、相互理解や協力関係を築き、自分の健康に責任を持てます。
ヘルスリテラシーの重要性を理解し、日々の健康向上につなげていきましょう。
健康について調べる際の注意点
健康に関する情報はインターネットや書籍などで簡単に入手できますが、その中には正確でないものや科学的根拠のないものもあります。健康について調べる際には、以下の点に注意してください。
情報源の信頼性を確認する
情報源が医師や専門家、公的機関などであれば、信頼性が高いと考えられます。
一方、個人のブログや広告、宣伝などであれば、信頼性が低いと考えられます。情報源が明記されていない場合や、情報の更新日が古い場合も注意が必要です。
情報の内容を批判的に読む
情報の内容が客観的な事実に基づいているかどうかを判断する必要があります。情報に科学的根拠や参考文献が示されているかどうかを確認しましょう。
情報が一方的な主張や感情的な言葉で書かれていないかどうかもチェックしましょう。
情報を鵜呑みにしない
情報を読んだだけで自分の健康状態や治療法を判断したり、自己診断や自己治療を行ったりしないでください。
情報は参考程度にとどめて、必要な場合は医師や専門家に相談してください。
情報によっては過度な不安やストレスを引き起こす可能性もありますので、自分の心身の状態に配慮してください。
このアプローチは、情報社会において信頼性のある情報を選別し、健康情報やその他の情報に対する判断をサポートするために役立ちます。
特にインターネット上で情報が氾濫する現代において、情報リテラシーを高める上で重要な原則です。
心理効果を巧みに使ってアピールしているケースも
普段目に入る情報には、数字のトリックなどを使って見栄えをよくしているケースによって落とし穴が潜んでいることがあります。
フレーミング効果
フレーミング効果とは、同じ事実や情報を異なる枠組みや言い方で提示することで、人々の判断や選択が変わってしまう心理現象のことです。
例えば、ある商品の品質について「90%の確率で成功する」と言う場合と「10%の確率で失敗する」と言う場合では、前者の方がより良い印象を与えます。
このように、フレーミング効果はマーケティングや交渉などの分野で有効に利用されるため、同時に誤解や偏見を生む可能性もあります。
シャルパンティエ効果
シャルパンティエ効果とは、同じ重さで体積が違う2つのものを比較したときに、体積の大きい方が軽く感じるという心理効果です。
商品やサービスをより読者にわかりやすく表現するためにマーケティングやコピーライティングで活用されています。
例えば、「タウリン1000mg配合」という表現は、「タウリン1g配合」という表現よりも多く感じられるのではないでしょうか。
このように、シャルパンティエ効果を利用することで、読者の錯覚を誘発して商品やサービスの価値を高めようとするのです。
権威への服従心理
権威への服従心理とは、権威の存在や命令によって、自分の判断や行動を変えてしまう心理のことです。
例えば、専門家や有名人などの意見に影響されることが挙げられます。
権威への服従心理に陥らないためには、自分の価値観や信念を持ち、それを論理的に根拠付けることが重要です。
ウィンザー効果
ウィンザー効果とは、情報や意見が第三者から提供される場合、それが当事者自身から提供される情報よりも信頼性が高まる心理的現象を指します。
第三者が中立的で利害関係のない立場から情報を提供するため、より客観的で信頼性のある情報と見なされることが多いです。
例えば、製品やサービスの広告よりも、独立した評論家や消費者のレビューや口コミを信頼しやすくなります。
ウィンザー効果は、消費者の意思決定や商品への信頼を形成する上で重要な要素となります。
このような心理効果はヒトの脳が持つ仕組みを利用したものです。ヒトの脳は騙されやすいという事実を意識しておくことが、情報を正確に理解するうえで重要になるでしょう。
健康に役立つサイト
健康に関する情報を調べる際に役立つサイトはいくつかあります。
以下のサイトは信頼性の高い情報を提供しており、健康に関する知識やアドバイスを得るのに適しています。
e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
e-ヘルスネットは、厚生労働省が運営する公式のウェブサイトで正しい健康情報を提供するために開設されました。
毎日の生活習慣を見直すためのヒントや情報を、各分野の専門家がわかりやすく解説しています。
具体的な健康トピックに関する情報やアドバイスが提供されており、生活習慣に関連する病気の情報や、健康を改善する方法について学べます。
厚生労働省の公式サイトとして、信頼性の高い情報が提供されており、健康に関する知識を深めたり、健康への取り組みをサポートする際に役立つリソースです。ブサイトで、正しい健康情報を提供しています。
各分野の専門家による解説や毎日の生活習慣の改善に関するヒントが提供されています。
健康の森(健康関連の知識・啓発)
https://www.med.or.jp/forest/
健康の森は日本医師会が運営するポータルサイトで、健康に関する情報やアドバイスを提供するサイトです。
このサイトは、身体や心の健康をバランスよく保つための情報を提供し、毎日が元気に過ごすためのヒントが充実しています。
健康ネット(公益財団法人 健康・体力づくり事業財団)
https://www.health-net.or.jp/
公益財団法人 健康・体力づくり事業財団が運営するホームページです。
健康に関する情報や健康運動指導士・実践指導者の認定講習会に関する情報が提供されています。